ハロー!うくれれです。
足を切断し、義足で過ごすようになる前は、義足ユーザーの家での生活について、まったく想像がつきませんでした。
これまで普通にできていたことを、義足を使っていても変わらずこなすことができるのか?
義足は家の中でずっと装着しているのか、それとも外して過ごすのか?
掃除や洗濯、料理などの家事はどうやればいいのだろう?
たくさんの不安が頭をよぎりました。
今、足を切断したばかりの方や、義足で歩き始めたばかりの方は、当時の私と同じ不安を抱えているのではないでしょうか。
そこで今回は、義足での生活、特に家の中での過ごし方にフォーカスして、どんなふうに毎日を送っているのかをまとめてみたいと思います。
読んでくれている方の参考になれば幸いです。
Contents
義足の家での生活は?一日の着脱するタイミングと装着時間
義足ができるのを待っていた頃、一日のうちでどんなときに義足をつけたり外したりするのだろうと疑問に思っていました。
義足が自分の‘’普通‘’でなかった当時は、歩くときだけ義足をつけて、それ以外は外しているような、いわゆる靴のような感じで使うのだろうと思っていたのです。
家の中で本を読んだり、テレビを観たりする座っている時間は義足をつけていないんだろうなと。
仮義足ができて、歩く練習を重ねていくうちに義足の装着時間もどんどん長くなり、義足は「靴」じゃなく、「足」だという感覚になりました。
生まれた時から自分についていた「生足」と同じなのです。
一日のうちで、自分の生足をつけたり外したりしますか?
もちろんしませんよね。
私の場合はそのような感覚なので、朝起きて義足をつけてから寝るまでの間、ほとんどの時間を義足をつけて過ごしています。
一日の中で義足を外すとしたら、だいたいの場合以下のタイミングになります。
- お風呂に入るとき
- 足に痛みがあるとき
- リラックスしたいとき
- 寝るとき
私は右足下腿義足にくわえ、左足にしびれや動きの制限が多少あります。
しかし、義足をつければ以前の自分と同じような動作がほとんどできるため、起きている間に義足を外す方が不便で心ともない気持ちになるのです。
義足と言っても種類はたくさんあり、その人の体の状態により義足の装着時間も変わってきますよね。
私は左足も弱くてケンケンができませんが、健足が頑丈な人は家の中で義足を外してケンケンで移動することもあるようです。
膝歩きで移動したり、ちょっとの距離ならお尻歩きでも十分いけます。
松葉杖やキャスター付きの椅子を使って移動している人もいるみたい。
また、義足を長い間つけるのが難しい人もいるでしょうし、義足より車いすで過ごす時間が長い人もいるでしょう。
家の中で義足をつけておくタイミングや時間は人それぞれ、生活していく中で自分に合ったスタイルを見つけていく感じですね。
義足でも家での生活は忙しい!料理・洗濯・掃除・育児などの家事はできるの?
私が右足を失ったのは、娘が6歳、息子が3歳のときでした。
2人ともまだ小さかったため、働きには出ておらず、専業主婦でした。
専業主婦、特に就学前の小さな子どもがいるお母さんって、非常に忙しいです。
家の中にいる時間は多いけど、一日中何かしていますし、動き回ってばかりいます。
義足になって、今までどおり子どもたちのお世話をしながら、料理や洗濯などの家事をこなせるような動ける体を維持できるのか?とても心配でした。
私は足だけでなく、膠原病のために両手の神経もやられていて、筋肉はやせ細り、痺れて動かせない状態が長く続いていました。
指先に力が入らなかったので、お箸は使えない、ヨーグルトのふたも開けられない、コンタクトレンズも入れられないような日々でした。
子どもたちがお菓子の袋を開けてほしいと持ってきても、モノをつまむことができなかったので、お願いに応えることができなかった。
不幸中の幸いといえば、私が足を失って歩けなかった頃、息子は3歳でしたが、赤ちゃんのときほどお世話を必要としていなかったことでしょうか。
赤ちゃんのお世話をするとき、おむつ替えや抱きあげるとき、一緒に遊ぶときなど、つねに膝を曲げてかがんだり、しゃがんだりする体制をとります。
義足だと膝は曲がらず、足首も固定されているので、しゃがむということが物理的に難しいのです。
3歳だとまだまだ小さいですが、しゃがむ体勢を取らずともお世話は十分にできる大きさなので、何とかやりきることができました。
それに、お姉ちゃんは6歳だったので、いろいろと気を使って弟の面倒をみてくれたのも助かりました。
一姫二太郎とはよく言ったものだ。
そんな日々をじっと耐えつつ、時間は少しかかりましたが、義足を使い始めてから徐々に感覚をつかんでいき、今では家の中のことはほとんどできるようになりました。
人間の体は本当に素晴らしいもので、あんなに動かなかった手も、今ではめっちゃ動くようになり、ウクレレを弾きこなす毎日。
5年間使っている義足もずっと調子がよいので、家の中では両足があった頃と変わりなく動けるようになっています。
お料理も。。。
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掃除も。。。
洗濯も。。。
義足と洗濯 pic.twitter.com/uGZRKQeIDD
— うくれれ (@helloukulele) March 14, 2023
家事をそつなくこなせる今、このブログの趣旨でもありますが、あの頃の自分に向けて「あなたは将来こんなに元気になり、何でもできますよ」という希望を送りたい気持ちになります。
そして、こんな私でも、義足で家の中をどう過ごすのか疑問に思っている方の手助けになればいいなと思うのです。
家での生活で大変なことは?
義足の家での生活でお風呂やトイレはどうしてる?
家の中ではお風呂やトイレを使いますが、義足になって何か変わったことはあったのか。
私は右ひざから下を切断しており、片足だけの下腿義足なので、洋式トイレに関しては以前とまったく同じように使うことができます。
2本足が健康だった頃と同じように、です。
義足になってから和式トイレに出くわしたことがないのですが、しゃがんでトイレをするのは難しいでしょうね。
義足側の膝は十分に曲がらず足首も90度なので、中腰で用を足すことになりますが、バランスを取るのが大変そうです。
小さいほうは何とかなるかもしれないけど、大きいほうはどうするんでしょうね?
昔から義足を使っている方は、トイレで苦労された経験があるんじゃないでしょうか。
今後日本に帰国して和式トイレに遭遇しても、利用することはないと思います。
お風呂にはいるときは義足を外しますが、私は片足でしっかり立つことや、ケンケンができないため、お風呂用の椅子は欠かせません。
椅子と言っても一般的なプラスチックなどでできた風呂椅子ではなく、介護用品として売られている「バスチェア」や「シャワーチェア」と呼ばれるものです。
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(私の愛用品)
介護用の風呂椅子は、その人に合った高さに調節できるので、立ちあがるときなどとても便利です。
座面にいくつも穴が開いているので通気性もよく、使用後もサッと拭いておけばカビることもありません。
座面にはクッションシートが付いており、裸で座ったときも冷たさを感じることなく、柔らかく快適です。
座面の両端に取っ手が付いているので、中腰になり取っ手をもって一歩ずつ動けば、椅子ごとお風呂の中を移動することもできて便利です。
脱衣所に高さのある台や椅子を置き、その上にタオルを用意しておきます。
お風呂の入り口に風呂椅子を持ってきて、座った状態で義足を外します。
湯船に入るときは、椅子ごとバスタブのギリギリまで移動し、片足で中腰になり、バスタブのふちに座ります。
そのまま回転しやすい方向にまわり、健足を先に湯船につけて、体全体をゆっくりとつかります。
湯船から上がるときは、健足で立ちあがりながらバスタブのふちに座り、体を回転させて風呂椅子に乗りうつります。
入浴が終わったら椅子のままお風呂の入り口まで移動し、脱衣所に用意してあるタオルで体を拭きます。
シリコンライナーは体をふいたあと、シャワーでちゃちゃっと洗い、タオルで拭いて装着しています。
義足をつけて立ち上がったあとに、下着やパジャマを着ています。
足がある頃からすればひと手間加わって面倒な感じもしますが、問題なく入浴できるだけでもありがたいことですよね。
寝るときに外した義足はどうする?ライナーが冷たい時の対処法も!
義足は自分の生足の代わりとなりますが、寝るときはさすがに邪魔になります。
義足をつけたままお昼寝をしたことがありますが、足がごつごつしていてとても眠りづらいです。
「あ~、足が痛いなぁ」と思いながら寝るので、しっかり睡眠がとれてないような感じで、起きたときにやっぱり外しておけばよかったと後悔します。
寝るときはベッドに座ってから義足を外し、ベッドサイドに立てかけておきます。
シリコンライナーはサイドテーブルに置いておき、そのまま就寝。
朝起きて義足をつけるのですが、冬の朝はシリコンライナーが冷たくて、一瞬で目が覚めてしまいますよね。
あまり冷たいのは好きじゃないので、一発目の目覚ましが鳴ったらシリコンライナーを抱きかかえ、スヌーズが鳴るまで一緒に寝ています。
スヌーズを10分後くらいに設定しておくと、シリコンライナーもほんのり人肌の温かさに。
学生時代に制服を布団に入れて眠っていましたが、そのやり方がシリコンライナーにも適応できるということです。
起きぬけは歩きが不安定なので、転ばないようにゆっくりと動くようにしています。
義足の家での生活まとめ
義足になってできないことが増えると思っていましたが、意外となんでもこなせることが分かり、気持ちがどんどん楽になっていきました。
足がなくなって人生終わったと思ったんですけど、こんなに動けるのならまだまだ長生きしなくちゃいけないですね。
家の中でも高い所にのぼったりするのは怖くてまだできませんが、もっと義足での生活に自信がつけばできるようになるかもしれません。
これからも焦らずに、でも着実にできることを増やしていきたいと思っています。