ハロー!うくれれです。
長い間ニュージーランドに住んでいるといろいろな出来事にあうのですが、2022年6月にまた新しい経験を重ねることになりました。
ある日届いた一通の手紙、その内容は「陪審員召喚状」
手紙を開封した瞬間、ついに私にも来てしまったか・・・という驚きと恐怖をかくせませんでした。
陪審員って、いったいどういうことをするの?
英語がネイティブじゃないのに、誰かを裁くなんて無理でしょ?
頭に浮かぶ様々な疑問は、実際に体験することですべて明らかになっていきました。
今回はそんなちょっと珍しい体験談を、前後編にわけて綴っていこうと思います。
ニュージーランドで陪審員に選ばれて困っている日本人がいたら、ぜひ参考にしていただきたいです。(滅多にいないだろうけど…)
ニュージーランドの陪審員召喚(Jury Service)とは?選ばれる人の基準や手当など
ニュージーランドに移住してからおよそ15年の月日が流れましたが、このたび陪審員の召喚状が、ついに、届きました!
なんて書くと楽しみにしていたように感じますが、全然そうではなくて、できれば呼び出されたくなかったというのが本音。
だって、日本の裁判員制度ですらよくわかっていないのに、英語の国の陪審員制度を理解できるわけがない。
長い間住んでいていろんな経験を重ねてきましたが、さすがに陪審員制度については全くの無知であります。
ということで、召喚状が届いたのが良いきっかけだと思い、ニュージーランドの陪審員制度を軽く調べてみることにしました。
まず、日本で採用されている裁判員制度と陪審員制度の違いについて・・・
【裁判員制度と陪審員制度の違い】
どちらの制度も、刑事裁判を裁判官にまかせるのではなく、法律には素人である国民が刑事裁判に参加するものですが、その基本的な違いは、起訴された事実が有罪か無罪かについて、陪審制は裁判官から独立して陪審員だけで議論して決めるのに対し、裁判員制度は、裁判官と裁判員とがいっしょに議論し、有罪か無罪かを決めるというところにあります。
引用:しんぶん赤旗
裁判員は有罪か無罪を話し合うときに裁判官も一緒に混ざって決めているが、陪審員は陪審員だけで決める、ということなんですね。
では、ニュージーランドで陪審員に召喚される資格がある(選ばれる)のはどんな人なのかというと、「その地方の裁判所管轄内で、選挙権を持っている人」だそう。
選挙権がある人なら、移民であろうが永住権であろうが、みんなが選ばれる対象に。
召喚状が届くのはそのなかで無作為にピックアップされた名前なのですが、ピックアップの対象になる頻度が2年に一度とけっこう短いスパンだそう。
運のいい(悪い?)ひとなら、一生のうちに何度も何度も召喚状が届く可能性があるってことですよね。
召喚状が届いたら、出席できる人も、できない人も、速やかに返信する必要があります。
指定された日になれば、陪審員に選ばれた人たちはこぞって裁判所に向かうのですが、集まった人たちの中からさらにくじ引きで数十人が選ばれます。
選ばれた数十人は、実際に裁判が行われる部屋に移動しますが、そこからさらに人数を絞り、最終的に12人の陪審員が決定するという流れだそうです。
12人の裁判員に選ばれた人は、担当する裁判が終わるまで毎日参加し続けなくてはならないとのこと。
召喚状が届き裁判所まで出向いたからといって、実際に陪審員を務めることになるとは限らない、ということなんですね。
ちなみに、裁判所まで出向いた場合、わずかですが手当てがもらえます。
陪審員手当 | 最初の5日間 | 6日目以降 |
半日ごと | 31ドル | 40ドル |
午後6時から9時まで裁判所にいた場合(一日につき) | 89ドル | 114ドル |
午後9時以降も裁判所にいた場合(一日ごと) | 127ドル | 163ドル |
手当の他に、裁判所までの交通費や駐車場料金、期間中に利用したベビーシッターなどの保育費など、裁判出席のためにかかった経費なども支払われるそう。
裁判のために仕事を休んだ人に、期間中のお給料が出るかは会社次第とのことです。
裁判所に集まったすべての人に支払われる手当は一律なのですが、実際に陪審員をした人と集まっただけの人が一緒の金額って、ちょっとフェアじゃない気がするなぁ。
陪審員の人達は己の心身を削って裁判に向き合っていますからね…。
陪審員召喚状が届いても辞退できる?裁判所に出向くまでの流れをまとめてみた
調べてみたところ、何となくの流れは想像できたのですが、実際にその場を体験してみなければわからないことの方が多い。
陪審員の召喚状が届いた時に一番最初に頭に浮かんだのが、英語への不安でした。
ネイティブスピーカーではない自分が、裁判所で使われる専門的な難しい言葉の数々についていけるのか?
答えは速攻で「無理!!」
そのひとの人生を大きく変えてしまうような、責任ある陪審員に自分がふさわしくないのは誰が見ても分かります。
召喚状に同封された返信用紙には、出席できる旨をしらせること、また出席できない場合はその理由を記入する欄がありました。
言葉が理解できない陪審員なんてとんでもない!ということで、辞退する理由はバッチリ。
しっかりと「私は裁判に参加できるような英語力を持ち合わせていません」と記入し、返信を投函しました。
陪審員は辞退したと安心して過ごしていたある日、郵便受けの中に自分宛ての一通の手紙を発見します。
誰からだろうと開封してみると、また陪審員関係の手紙で、その内容とは・・・
「あなたの陪審員辞退理由は却下されました。つきましては、指定の日時に裁判所まで出向いていただきますよう、よろしくお願いします。」
なんと!英語力が不足しているというだけでは陪審員辞退の理由として不十分らしい。
なぜ!?なぜニュージーランドは言葉を理解できない人を陪審員にチョイスするのか!?
納得いかなかったため、直接問い合わせてみようと電話をかけたところ、どうやら同じ理由で辞退を希望する人は沢山いるらしい。
ニュージーランドは移民だらけですから、当たり前と言えば当たり前なんですけどね。
英語力を理由に陪審員を辞退できるかどうかを決められるのは、その裁判を担当する裁判官だけなんですって。
電話口でごねても、「とりあえず来てください」の一点張りだったので、諦めて裁判所まで出向くことになったのです。
と、ここまで召喚状が届いてから裁判所に向かうまでの流れをまとめてみました。
後半では実際に裁判所内でどんなことが起こったのかを書いていきたいと思います。
果たして私は陪審員として裁判に参加することになったのでしょうか・・・?
こうご期待??
おわりに
実は旦那も数年前に陪審員に選ばれ、さらに裁判所のくじ引きでも選ばれ、12人の陪審員のうちの一人を務めたことがあります。
経験者から聞けば何でもわかるだろうと思いきや、当時の様子をほとんど忘れてしまったという。
おかげで自分でいろいろと調べて、ニュージーランドの陪審員制度だけではなく日本の裁判員制度についても少し知識が付いたので、それはそれでよかったとしよう!