ハロー!うくれれです。
私が全身性エリテマトーデス(SLE)を発症したのは16歳のときで、もうずっと前になります。
こうして全身性エリテマトーデスや膠原病についてブログで発信していると、今まで気にも留めなかった情報ってたくさん入ってくるもので。。。
そのなかでも特に気にかかったというか、驚いたものに「全身性エリテマトーデス(SLE)の寿命は25年」があります。
25年って、それ本当なの?
全身性エリテマトーデスを発病したばかりの人がこの情報を知ったら、きっと怖くなってしまうのではないでしょうか。
そこで今回は、「全身性エリテマトーデスの寿命は25年」の真実に迫っていこうと思います。
Contents
全身性エリテマトーデス(SLE)の寿命は25年って本当!?出回る情報の真実は?
私が膠原病の全身性エリテマトーデスと診断されたのは16歳のとき、高校2年生になったばかりの春でした。
診断されてすぐにステロイド薬の服用を開始し、パルス療法を受けて、全身性エリテマトーデスの活動を抑え込みました。
当時、担当医や看護師から、全身性エリテマトーデスとはどのような病気なのか、将来はどんな経過をたどるのかなどの説明を受けたことを覚えています。
印象的だったのは、大昔は発病後の5年生存率が5%だったけど、医療が発達し、今では90%の人が生き続けているという話。
5年後ってけっこう先の話だなぁとぼんやり思っていました。
5年後がぼんやりしているくらいの年頃なので、生存率の話をされても「はぁ、そうですか」といった反応です。
それより、昔は5%の人しか生き残れなかったのかと思うと、たいそうな病気にかかってしまったわ、という悲劇のヒロインっぷりが加速したくらい。
寿命を意識するなんてことはこれっぽっちもありませんでした。
時は経ち、大人になり、就職、恋愛、結婚、出産など人生の一大イベントを次々乗り越えて、発病から23年後に全身性エリテマトーデスが大再燃!
人生最大のどん底で、生命の危機を感じるも、なんだかんだで生きのびて、健康な生活を取りもどし、こうして病気のことを発信するようになりました。
記事を書くたびに全身性エリテマトーデスについての情報がどんどん更新され、今まで自分の病気のことを全く知らなかったんだと実感。
知らなくてよかったと思うような、恐ろしい情報もたくさんありました。
そのなかで一番びっくりしたのが、今回のテーマ「全身性エリテマトーデスの寿命は25年」というやつです。
16歳のときとは違い、5年後がどれだけ近くにあるのかわかる年齢です。
25年なんてあっという間、瞬きする間に過ぎてしまうことも知っている。
寿命が25年だったら大変!私に残された時間はあと何年あるのかしら!?
えらいこっちゃ!と思って計算してみたところ、全身性エリテマトーデス発症から、なんと!
28年も経過しておりました。
全身性エリテマトーデスの寿命の期限を3年ほど過ぎていますね。
まだまだ寿命がくる気配はなく、10年や20年、30年後に逢えるかもしれない孫の顔まで見るつもりなのだけど。。。
「全身性エリテマトーデスの寿命は25年」説は、私には当てはまらなかったということです。
私には当てはまらなかったというか、そもそも全身性エリテマトーデスを抱えている人は、一人ひとり症状の種類も程度もちがうもの。
ひとことで「寿命は25年」というのは、間違っているんじゃないかなと思います。
それに、いつ、どんな方法で、どれくらいの期間検証し、調査した答えが25年に繋がっているのかもはっきりしないし、信じなくていいと私は思うのです。
全身性エリテマトーデス(SLE)の寿命が25年説を疑う理由と個人的な見解
「全身性エリテマトーデスの寿命は25年」について調べてみようと、ネットにある情報を漁ってみました。
すると、実際のところ「全身性エリテマトーデスの寿命は25年」ではなく、「全身性エリテマトーデスの治療のためにステロイド投薬を始めてからの寿命が25年」ということらしい。
治療のためにステロイド投薬を始めてから25年と言うところがポイントですね。
多くの人が知っているように、ステロイド薬には病気を抑えてくれるパワーがありますが、一方で重大な副作用もついてきます。
例えば、感染症にかかりやすくなる、骨壊死や骨粗しょう症のリスク、白内障や緑内障、糖尿病、高血圧症、高脂血症など。
全身性エリテマトーデス自体の症状と、ステロイドの副作用で起こった病気、ふたつのリスクが合わさった結果、寿命が短くなってしまうことがあり、それがだいたい25年前後ってことなんでしょうか。
とはいえ、ネットだけの情報だと、「全身性エリテマトーデスの治療のためにステロイド投薬を始めてからの寿命が25年」という数字の出所もはっきりと分かりません。
どこかのすごい医科大学とか、大病院とかのチームが出した結果なんでしょうけど。
たぶんですけど、何年も前の研究結果なのでは?
それを証明するため、近年の全身性エリテマトーデスの治療に使われているお薬たちを見てみましょう。
免疫調整剤(プラケニル)
プラケニル(ヒドロキシクロロキン)は、免疫調整剤という種類の薬で、服用することで免疫細胞に働きかけ、SLEによる異常な免疫反応を調整する効果があります。
正常な免疫機能にはほとんど影響せず、異常な免疫反応に働きかけるのが特徴。
正常な免疫機能にも働きかけてしまう免疫抑制剤より効果はマイルドで、副作用の心配もほとんどないお薬です。
唯一の重い副作用として、網膜症のリスクがありますが、とてもまれだそうで、一年に一回の眼科検診で早期発見、治療ができるそうです。
もともとはマラリアの治療薬でしたが、マラリア以外の病気にも有効であることがわかり、多くの国で全身性エリテマトーデスの治療薬として用いられています。
日本では2015年にその効能が認証され、治療薬として使用されるようになりました。
現在では、軽度から中程度の全身性エリテマトーデスの治療において、ステロイドの前の選択肢とされています。
私が全身性エリテマトーデスを発症した16歳のときは、治療の第一選択がステロイド薬だったため、以来ステロイドを飲みつづけています。
しかし、2023年の今だったら?
発病当時、意識もうろうで病院に担ぎこまれたものの臓器に異常はなく、程度としては中等。
今発症していたら、ステロイドを使用せずに治療できていたかも??と思うと、ちょっと悔しい気もしますね。
しかし逆に考えると、私のような病状でも、ステロイドを使用せずに予後を過ごせる人が増えているということ。
全身性エリテマトーデスの治療に選択肢が増えたことは、素直に嬉しいですね。
免疫抑制剤(セルセプトなど)
セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル)は免疫抑制剤で、もともとは臓器移植後の拒絶反応の治療に効果があるとされていたものです。
日本では2015年に膠原病のループス腎炎に対する効能が評価され、全身性エリテマトーデスの治療に使用されるようになりました。
免疫抑制剤にはセルセプトのほかに、エンドキサン(シクロホスファミド水和物)やイムラン(アザチオプリン)、タクロリムス(タクロリムス水和物)などがあります。
これらの免疫抑制剤とステロイドを併用することで、ステロイドの使用量を最低限に抑えたり、病状によってはステロイドを服用しなくてよくなることも。
どの免疫抑制剤も、ステロイドのように重篤な副作用はあまりないと言われています。
下痢など消化器系の不調や、胎児の奇形などのリスクはありますが、医師の指導のもとで服用すれば、過度に心配する必要はないですよね。
私も免疫抑制剤のお世話になっていて、これまでにイムランとセルセプトを服用しました。
おかげでステロイドの量は一般的な維持量とされている5㎎より下の3㎎まで落とすことができています。
生物学的製剤(ベンリスタ)
日本では2017年に認可された生物学的製剤のベンリスタ。
全身性エリテマトーデスの患者の血液中にある「Bリンパ球刺激因子」というたんぱく質が過剰になり、自分の体を攻撃してしまうことがあります。
ベンリスタはそのたんぱく質の働きを抑え、病気を抑制する作用があります。
私のように全身性エリテマトーデスのベテランにとっては、治療に注射が使われるの?と、ちょっと意外な感じがします。
医療は日々進歩しているんだなぁと、時の流れを感じる古株のSLE持ち、たくさんいるはず。
ベンリスタには点滴と皮下注射のふたつの製剤があり、皮下注射は医師の許可があれば自宅で自己注射を選択できます。
点滴の場合は通院が必要だけど、投与回数は少なく、薬剤を管理する必要がないのはよいところ。
皮下注射なら自宅でできるため、通院の必要がないのでラクちんですが、薬剤を管理する手間がかかりますね。
しかし、自分で身体に針をさすのって結構勇気がいるんじゃ。。。?(私は使ったことがないので)
ベンリスタは副作用も少ないそうで、ステロイドや免疫抑制剤と併用することで、それぞれの薬が協力して病気から体を守ってくれます。
まだ新しい薬剤ですが、全身性エリテマトーデスの治療の幅がさらに広がり、ステロイドの減量も安心して進められるのは本当によいことですよね。
2023年の今、いろんな治療薬が全身性エリテマトーデスに使用されてきていることに感動します。
もう私が発症した当時のような状況ではなくなっている。
「全身性エリテマトーデスの治療のためにステロイド投薬を始めてからの寿命が25年」の研究結果が出されてからどのくらいの年数が経っているのかは分かりませんが、寿命25年説はすでに大昔の話と言ってもよいでしょう。
だって、全身性エリテマトーデスはもう「ステロイドにおんぶに抱っこの病気」じゃないですから。
そして何よりここに、ステロイドを25年以上服用しているけど、毎日元気に過ごしている生き証人がいますから。
寿命を意識するより日々の生活に目を向けるほうが大事
2018年に全身性エリテマトーデスが大爆発し、死をも意識するほどでした。
坂道を転がるようにどんどん病状が悪化し、もうこのまま終わってしまうのかなと。
一か月以上、痛みや苦しさで眠ることさえできず、右足を切断する手術では、全身麻酔で眠れることが楽しみだったくらい、辛かったのです。
右足にさよならしたとたん、下降線をたどっていた病状が緩やかに回復し始めました。
だからと言って戦いが終わったわけではなく、荒れ狂う病気を抑えるためにさらなる治療が追加されます。
切断後に行われたのはエンドキサンの点滴。
効果が強い代わりに、副作用として将来膀胱がんになるリスクが高いと医師から説明を受けました。
膠原病自体でもこんなに苦しんでいるのに、副作用でさらに重篤な病気になるのか…。
足がなくなって、自我さえもなくなりかけている私に、膀胱がんのリスクまで。
ふさぎ込んでいる私を見て、担当の医師はこう言いました。
「膀胱がんになると言っても必ずなるわけじゃない、なったとしても70歳とか、80歳とかのおばあさんになってからよ。そんな年齢なら、誰ががんになったっておかしくないわよ。」
「誰がどのくらいの期間、元気に生きていけるかなんて、医療者の私だってわからない。あなたの旦那があなたより先に亡くなることもあるし、私だって明日事故で死んでしまうかもしれないでしょう。」
「長く生きる人は長く生きるし、短命の人はどうしたって短命なの。人間にはコントロールできない次元って存在するのよ。」
そう聞いて、気やすめだってわかっているけど、確かにそうだなぁと。
どんなに若くても、どんなに気を付けていても、不慮のできごとで亡くなってしまう人もいる。
健康だと思っていた人が急病で突然帰らぬ人になることもある。
寿命は誰にもコントロールできないし、将来がんになるかもと落胆しても何の意味もないなと思ったんです。
その後、無事に退院できたのですが、しばらくはうつ状態。
全身性エリテマトーデスが再燃するまでに起こったできごとへの後悔や、
足がなくなってしまった自分への絶望感、
一生続けなければならない薬や検査が増えてしまったことなどが、頭の中を一日中回り続けていました。
こんな状態で、長生きなんかできるわけない。
来年の子どもの誕生日に、私はまだ生きているのかな。
自分の命の長さを考えて、暗くなる日もたくさんありました。
そんなとき、いつも思い出していたのが、担当医から言われたあの言葉です。
誰もわからない人間の寿命を真剣に考えても意味がないと、ふと我に返れました。
なんども後ろ向きになったり、踏ん張ったり、諦めたりするたびに、あの言葉を思い出し、いつの間にかまた元気な毎日を過ごせるようになりました。
まぁ、これだけ病気のオンパレードですから、いわゆる平均寿命より前にこの世にさよならしても当然だなという考えは、正直、心のなかにあります。
だけど、余命宣告をされているわけではないし、どのくらい生きられるかなんてわからない。
それよりも、主婦としての毎日を忙しく過ごしたり、育児や海外での生活に奔走するほうがよっぽど大事だなと、今は思います。
せっかく生きているんだから、生きてることに集中しなくちゃもったいないですしね。
全身性エリテマトーデス(SLE)の寿命は25年のまとめ
全身性エリテマトーデスを公表しているyoutuberの女の子が、視聴者から「全身性エリテマトーデスの寿命は25年」とわざわざ告げられたという動画を観たことがあります。
たぶんまだ20代だと思うんですが、そんな若い女の子が25年の寿命と聞いたときの気持ちを考えると、胸が痛みますね。
難病でつらくても前向きに頑張ってる女の子に、寿命は25年ですよってわざわざ言ってくる人もどうかと思うけど、言われたことを受け止めて、自分の言葉で発信する彼女も偉いなぁって。
医療は日々進化しているから、寿命と言われる25年後には全身性エリテマトーデスが完治する薬が開発されている可能性も十分あります。
もし全身性エリテマトーデスと診断されたばかりのかたが、25年の寿命におびえているなら、そんな昔話はどんどんスルーしていこうぜ!と伝えたいですね。
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