膠原病は美人病
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膠原病

膠原病は美人病なのか?理由や根拠を調査したら昔のSLE医学と手塚治虫にたどり着いた

ハロー!うくれれです。

 

膠原病(全身性エリテマトーデス・SLE)についてネットで検索していた時、予測されたキーワードの中に

 

「膠原病 美人病」という、膠原病当事者にとって心躍る組み合わせを見つけました。

 

美人病だなんて、美意識の高い女性はぜひかかってみたいと思われるような名前ですが、いったいなぜ膠原病は美人病と言われているのでしょう?

 

もし根拠を証明できれば私は正々堂々と「美人です」と言えるようになるかもしれません。

 

ということで、今回は「膠原病=美人病」について調査・考察してみました!

 

膠原病は美人病?SLE発病後すぐ知った言葉に悪い気はしないなと思った16歳の春

美人と言われてうれしい高校生

膠原病をネットで検索すると、予測される組み合わせワードに

 

「美人」

「美人病」

「美人がなる」

 

などという、女性なら心に引っ掛かるキーワードがあがってきます。

 

予測候補になるということは、これまでに「膠原病 美人」というキーワードで検索をした人が一定数いるという証拠です。

 

今まですっかり忘れていましたが、そのキーワードを目にした瞬間、自分もそういう話を聞いたことがあるなと、片隅に潜んでいた記憶がよみがえってきました。

 

それは16歳の春、膠原病(全身性エリテマトーデス・SLE)と診断されて入院していた時のこと。

 

病気について何も知らなかった母は、新聞や書籍、知り合いなどから沢山の情報を集め回っていました。

 

パチンコ屋の隣にあるラーメン屋の奥さんが膠原病で、具合が悪い時だけ薬を飲んでいるとか、

 

芸能人のなんとかさんも全身性エリテマトーデスを罹患しているとか、

 

知り合いの従姉妹の娘が膠原病だけど子供を3人産んでいるとか…。

 

今ならネットで検索すれば、全身性エリテマトーデスや膠原病についての情報はわんさか出てきますが、当時は自分の足を使って調べ上げなければなりません。

 

情報収集に奔走する母が、ある日私にかけたひと言。

 

「膠原病は美人がかかるらしいで。あんた、良かったな!」

 

膠原病について調べまくった母は、そんなまことしやかな話を仕入れてきました。

 

うくちゃん
良かったなって、何がよ?

 

なんじゃそりゃ?と頭の中でツッコミを入れながらも、思春期の女子ですから、ラーメン屋の奥さんの話題は聞き流せど、「美人」という言葉は気になります。

 

「ふ~ん、そうなん?」と、興味なさげに返しましたが、内心ちょっと嬉しい。

 

私はとびぬけて美人だという自覚はありませんでしたが、ちょっといい線いってるんじゃないか?くらいは思っていました。ハイ。

 

小さな頃からデメキンとか、目玉焼きというあだ名がつくほど目が大きく、瞳の色は薄かったし、でこっぱちと呼ばれるくらいおでこもツヤツヤしていたし、高校に入ってちょっとモテた時期もあったし。

 

外見が気になるお年頃に、いきなり病気になった悲劇のヒロイン的な感情も手伝って「膠原病は美人がかかる」という言葉を素直に受け入れたのです。

 

何とも単純で純粋な乙女心。

 

病気に対してマイナスな感情が多い中、美人特有(勝手に特有になってる)の病気という点ではプラスに加点しても良いかなと。

 

同じ様なことを看護師さんからも言われたし、「美人病」という噂は膠原病界隈では一般的なのかしら?

 

当時はその根拠について考えたことはなかったのですが、ネットで簡単に情報が手に入る今、「膠原病=美人病」がどうして広まっているのか、理由を調べてみようではないかと思い、この記事を書くに至ったわけです。

 

膠原病は美人がかかると言われる理由は?根拠になる説を集めて考察!

膠原病は美人病の根拠は?

膠原病は美人がなるという言い伝えの由来を探るべく、まずは「膠原病 美人病」で検索をかけてみました。

 

検索結果の上位には、NHKや皮膚科学会、医療機関などのウェブサイトが並んでいます。

 

各ページごとに「美人」という文字を検索してみましたが、「美人」どころか「美」という漢字すら入っていません。

 

あれれ、おかしいな。「膠原病 美人病」のキーワードで上位表示されているすべてのページに「美人」がひとつも入っていないとは。

 

専門医学的には、膠原病患者は美人だという見解はないという事か?やはり単なる都市伝説的な言い伝えなのだろうか。

 

うくちゃん
言い伝えなのだろうかって…
そりゃそうでしょう。
れれくん

 

医学的根拠がないのなら、自らの経験をもとに膠原病患者の容姿を並べてみようと思い、入院中に同じ病棟だったSLEの人達の顔を思い出してみました。

 

小学6年生の女の子、26歳のママさん、60代の天然おばちゃん…今でも複数人の顔をはっきりと思い出せるのですが、みんなムーンフェイスだったんですよね。

 

ほっぺたが丸く膨れ上がるため目は細く、おちょぼ口で、鼻も両側から圧迫されて窮屈そう。それに、火照った頬は真っ赤だし。

 

美人かどうかの前に、本来の顔立ちが分からない!

 

ネットもだめ、自分の経験も当てにならない、では次はSNSで調べてみよう。

 

ツイッターを調査していると、こんなつぶやきを見つけました。

 

 

「ブラックジャックにも膠原病は美人がなると書いてある」ですって!

 

医学的に証明されていなくても、ブラックジャックが言っているんなら信じてもよさそうです。

 

どんなお話なのか、膠原病患者なら気になりますよね。

 

調べてみたところ、1976年4月5日号の少年チャンピオンに掲載された「第117話 未来への贈りもの」のことみたい。

 

話の内容を簡単に説明すると、

ALS(筋萎縮性側索硬化症)を罹患している男性とSLEの女性が結婚、当時はどちらも治るすべのない絶望的な病気だった。

ブラックジャックは愛し合う二人に、ロシアで開発された人口冬眠装置を紹介する。

治療法が確立された遠い未来に二人で目覚めるために、今もロシアで眠り続けている。

 

数あるブラックジャック作品の中でも、読み終わった後に未来への希望を感じるような、SFチックな名作だそうです。

 

著者の手塚治虫は医学博士で、ブラックジャックに出てくる疾患はきちんとした知識をもとに表現されているとのこと。

 

「未来への贈りもの」が発表されたのは50年近く前になりますが、すでにその時、膠原病は美人がなると言われていたと考えてよさそうですね。

 

膠原病の治療にステロイドが使われ始めたのが1950年代で、70年代にはSLEの予後は大幅に改善しているというデータがありますが、やはり現在に比べると平均寿命も短かったのではないかなと。

 

加えて、当時全身性エリテマトーデスは今ほど知られている病気ではなかったはず。

 

発病する人の多くは若い世代ですし、若いというだけでフレッシュな美しさがあるのは確かです。

 

若い女性が発病することが多い謎の病気で、重篤になったり、命を落とす人も珍しくなかったのかも。

 

昔からある「美人薄命」という言葉のように、若い女性+病気という儚げなイメージが「膠原病は美人病」という言い伝えを生み出したのかもしれませんね。

 

お話の中では、SLEの女性が日光に当たることができず、カーテンを閉め切った病室ですごす場面も出てきます。

 

みなさんご存知の通り、全身性エリテマトーデスは日光に当たることが発症の原因になったり、症状を悪化させるきっかけになると言われています。

 

そのため、診断後なるべく日光に当たらないように日焼け対策を万全にしている人も多いでしょう。

 

当たり前ですが、日にあたらないということは、本来の白さを持つ良い肌の状態をキープできますよね。

 

「色白は七難隠す」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、意味を調べてみると、

色白の綺麗な肌の女性は相貌がそれほど端麗というわけでなくても十分に美人の印象を与える、といった意味合いで用いられる言い回し。

出典:Weblio辞典

 

なるほど~、これが「膠原病は美人病」の始まりなのかしら?

 

日焼けした素肌が流行る時代もありますが、結局みんな美白を目指すところに落ち着くし。

 

さらに、ただ色が白いだけでなく、ぽっちゃり美人が膠原病にかかりやすいという説も。

 

「ぽっちゃり」というのは体型のことではなく、ステロイドの副作用であるムーンフェイスの事を言っているのでは?

 

(ステロイドの副作用で食欲旺盛になって太る人もいるそうですが、私が知っている患者さんたちはみんなやせっぽっちだった。)

 

もし色白ぽっちゃりさんが「膠原病は美人がかかる」の理由だとしたら、「膠原病にかかったら美人になる」のほうが正しい言い方になりますね。

 

昔の医学生は「膠原病は美人病」と教わっていた!?

昔の医学生

 

「膠原病は美人病」について調査・考察した結果、単なる言い伝えに過ぎないというところに落ち着きそうになっていた時、こんな興味深いツイートを発見しました。

 

昔の医学生は、膠原病は色白美人が多いと教わったとな?

 

同様のことを言っているツイートが何件かあり、まんざら嘘でもなさそうです。

 

膠原病は美人病説の具体的な根拠が分かりそうな予感。

 

とはいえ、ツイッターでの発言では、その信ぴょう性がちょっと弱いかな。

 

権威のある医師の見解や文献があれば「膠原病は美人病」=「私は膠原病だから美人です」と堂々と言えるのに。

 

どこかに証明できるものはないかと深堀りしていたところ、見つけました。

 

やっと巡り合えたこの一冊。膠原病リウマチの名医、三森明夫医師がかかれた「よく分かる最新医学 膠原病」という本です。

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本の中のコラムに、「色白美人が、なりやすい!?」というタイトルで、「昔の医学生は、SLEを発症する人は美人が多いと教わったらしい」の旨が記載されているではないですか。

 

三森医師が外来診療を行っている「としま町クリニック」のウェブサイトには、三森医師についてこのように紹介されています。

三森明夫医師は、膠原病リウマチ領域における権威として大変ご高名な医師であり、多くの医師は三森先生の書籍「高原病診療ノート」で膠原病を学んでいるといっても過言ではないほど膠原病領域における権威であります。

出典:としま町クリニック

 

素晴らしい!三森医師が「膠原病は美人病」というなら間違いないぞ。

 

どれどれ、と、コラムの内容に目を通してみると…、

SLEを発症する人は、若くて、色白の美人が多い。昔の医学生は、そんな風に教えられたといいます。日焼けに弱い体質のために、日ざしを避けるようにしていて肌が白いのか、色白ゆえに紫外線の害を受けやすく、SLEを発症してしまうのか、はっきりした因果関係は分かりません

出典:よくわかる最新医学 膠原病 三森明人著

 

昔の医学生がそう教わった話は真実っぽい、だけどはっきりとした因果関係は分からないと書かれていますね…。

 

とは言え、三森医師の予想からも、肌の色が白いという特徴が美人のイメージ繋がったというのはほぼ確定でよいのではないでしょうか?

 

顔立ちが整っているという根拠はないのか。。。

 

でも!昔の話とは言え学校で教えられているくらいですから、医学的統計が少なからず「顔立ち」にも関係しているのは間違いないでしょう。

 

火のない所に煙は立たぬです!

 

ということは、「膠原病は美人病」の裏付けがほぼ取れたと言ってもよいでしょう!

うくちゃん
無理やりだなぁ

 

ブラックジャックの話に戻りますが、手塚治虫が医学の勉強をしていたのは1945年あたりだそう。

 

三森医師の言う「昔」とは、手塚治虫が医学生だった時期と重なっているのではないでしょうか?

 

ブラックジャックの作中で「膠原病は美人病」とされているのは、その昔手塚治虫が医学生だった時にそう教わっていたからなのか!

 

膠原病は美人がかかるというのを証明したかっただけなのに、ついでに日本が誇る偉大な漫画家の背景を知ることになるとは。

 

物事がどのように紡ぎ合って歴史が生まれていくのかを垣間見たような、とても興味深い結果となりました。

 

手塚治虫について上手く締めることもできたし、医学的な根拠も少しだけ分かった気がするし、膠原病を患っている皆さん、「私は美人です」と胸を張って生きてゆきましょう!

 

れれくん
最後は壮大な締めになったね。

 

おわりに

日本人が昔から持っている、白い素肌は美しいという価値観から「膠原病は美人病」になったというのが大筋のようですね。

 

理由はなんにせよ、膠原病は美人がかかると言われて悪い気はしません。

 

先々医学が進歩して、膠原病と容貌は全く関係ないと証明されてしまったとしても、「美人病」という伝説は残り続けて欲しいですね!

 

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