ハロー!うくれれです。
膠原病などの自己免疫疾患はもちろん、たくさんの病気治療に欠かせないステロイド薬。
病気を落ちつかせたり、回復に向かわせ、よい状態を維持するためにとても有効なステロイドですが、一方で数多くの副作用に悩まされる患者もたくさんいます。
ステロイドの副作用のなかでも、顔がまん丸に膨れあがるムーンフェイス(満月様顔貌)は、外見を気にする人にとって嫌な副作用のひとつといえますね。
私も病気が活動的なときにステロイドを大量に服用し、ムーンフェイスをがっつり経験しているうちのひとり。
ムーンフェイスで悩んだ経験をもとに、ステロイドの副作用でムーンフェイスが起こるしくみや、投薬量の目安、治るまでの期間などをまとめてみました。
ムーンフェイスってこんなものか、という大まかな感じをつかんでいただければ幸いです。
ムーンフェイス(ステロイド副作用)はなぜ起こる?しくみを解説
ムーンフェイスは、満月様顔貌(まんげつようがんぼう)とも呼ばれ、ステロイドの副作用として多くの患者を悩ませています。
名前の通り、顔がまんまるお月様のように腫れあがり、まさに「ムーン」フェイス!
特にプレドニゾロンやデキサメタゾンなどは、ムーンフェイスを起こす薬として知られていますね。
ステロイドはコルチゾールという、副腎皮質から分泌されるホルモンと同じ働きをもちます。
コルチゾールの働き
- 糖新生(血糖値が低下しているときに、筋肉中のたんぱく質をアミノ酸に分解し、肝臓であらたに糖を作る)
- 脂肪分解を促進
- 抗炎症作用
- 免疫抑制作用
- 抗ストレス作用
私たちのからだで大切な働きをしているコルチゾールは、なくてはならないホルモンのひとつです。
コルチゾールの代謝は朝が一番多いそうで、コルチゾールと同じ働きをするステロイドを大量に服用しているとき、朝の投薬量が多いのはこのためなんですね。
ムーンフェイスが起こるしくみは、このコルチゾールに関係しています。
ステロイドを体内に入れるのは、コルチゾールが増えるのと同じことなので、服用後に糖新生(新たに糖が作られる)が活発になります。
すると、糖の上昇を抑えようとしてインスリンが分泌されます。
インスリンは脂肪細胞と結合しやすい性質を持っており、インスリンと脂肪が結合すれば、脂肪は増え、逆に分解は抑制されます。
顔やお腹にある脂肪はインスリン感受性が強いそうで、その部分に脂肪がつきやすくなり、膨らんでしまうのがムーンフェイス…らしい。
まず、コルチゾールが増えると血糖値が上がって、血糖値を下げようとしてインスリンが増えるんだよね。
そして、インスリンは脂肪と結合するのが好きなんだよね。
インスリンが脂肪と結合すると、脂肪をもっと増やしたり、分解を抑制したりする。
顔やお腹にはインスリンが結合しやすいタイプの脂肪が多くあるから、脂肪が増えやすくなって膨らむってこと?
また、ステロイドの副作用で食欲が増進されますが、過剰に食べることで太ってしまううえに、食後に血糖値があがると、さらにインスリンを分泌することになります。
ステロイド服用中は代謝異常による顔や身体のむくみも起こりやすく、ムーンフェイスはこの三本柱が主な原因ということなんですね。
ムーンフェイスの三本柱
- コルチゾールによる糖新生でインスリンが分泌され脂肪が増えやすくなる
- 食欲が増して太りやすくなる
- 代謝異常でむくみやすくなる
ステロイドの副作用で脂肪がつきやすい部位は、顔意外にもお腹や肩があるそうで、お腹につくと「中心性肥満」、肩につくと「野牛肩」と呼ばれるそうです。
逆に手足には脂肪がつきにくくなり、ほっそりとします。
この人の体型に似ている・・・。
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私は16歳で発病したとき、全身性エリテマトーデスの患者さんが多い病棟に入院していましたが、みんなそろって顔は丸く、入院着にかくされた胴体はふっくら、手足は枝のようだった記憶があります。
当時は知らなかったのですが、お腹や肩がふっくらするのもステロイドの副作用だったんですね~。
調べてみるもんだ。
副作用が出るのはお薬が効いている証拠だよ~などと言われたこともありますが、やっぱり気になるものは気になるんです。
ムーンフェイス(ステロイド)はいつからいつまで?投薬量の目安や治るまでの期間
ステロイドの副作用として有名なムーンフェイスですが、一時的な服用や、少量の場合はあまり心配しなくてよいようです。
ムーンフェイスは、10~15㎎の中等量からはじまります。
もちろん個人差はあると思いますが、15㎎以上のステロイドを服用している人の半分はムーンフェイスになるとのこと。
膠原病が活動的になっているときは、病気の勢いを抑えつけるために30㎎や50㎎といった大量のステロイドを服用する場合が多いので、ほとんどの人に現れるそうです。
では、服用開始からどのくらいの期間でムーンフェイスが現れるのでしょう?
こちらも人によって期間はまちまちですが、複数の医療機関系サイトで言われていることをまとめると、早ければ数日で顔が膨れだす人もいるし、2~3週間が平均的だという見解もありました。
ムーンフェイスになってから、中等量以上のステロイドを飲み続けている期間は、顔は丸く膨らんだままで治ることはありません。
ムーンフェイス対策は?
ステロイドを減量するにしたがって、顔の膨らみも徐々に小さくなり、10㎎以下になればしぼんできたことが目で見て分かるようになります。
病気が落ちついて維持量と言われる程度になれば、ムーンフェイスが気にならなくなる人がほとんどのようです。
維持量までステロイドを減量しても、まだ完璧に治っていないと感じる場合もあるようですが、いつか必ずもとに戻ります。
私はパルス療法+ステロイド(プレドニン)大量服用を2回経験していますが、どちらもムーンフェイスになりました。
1回目はパルス療法後にプレドニン60㎎から始め、徐々に減量し、維持量(5㎎以下)に。
2回目はパルス療法後にプレドニン10㎎程度(ちょっと記憶がうつろですが)から減量し、維持量(5㎎以下)になりました。
ムーンフェイスの様子を比べてみると、大量のプレドニンを服用していた期間が長かった1回目の方が顕著でした。
また、完全にもとの顔に戻るまでの期間も、1回目は1年近くかかりましたが、2回目は半年くらいでした。
服用量が少なく、期間も短い方が、ムーンフェイスの治りは早いようです。あたり前だけど。
まん丸顔のときは「もとに戻らなかったらどうしよう?」と不安になりますが、時間とともに治ると思えば、腹をくくって過ごそうという気もちもわいてきますね。
おわりに
ステロイドを始め、お薬を処方されるときは副作用の説明も同時に受けますが、なぜ起こるのかは知らないことが多いですよね。
私も2回ムーンフェイスになっておきながら、「飲めば膨れる」くらいの解釈しかしていなかったので、今回調べてみてよい勉強になりました。
ムーンフェイスがどのようなしくみで起きているのかが分かれば、自分が服用しているお薬をもっと理解でき、少し安心する気がしますね。