ハロー!うくれれです。
右足をひざ下から切断し、これまで当たり前にできていたことが当たり前でなくなってしまったとき、数ある不安の中でも大きかったのが、車の運転についてでした。
義足ユーザーの運転方法で、いくつかの選択肢の中から「右足の義足で運転する」を選んだ私。
今回は、右足義足で運転するために行った練習と、義足でアクセルやブレーキ操作をする感覚やテクニックについてまとめてみました!
右下腿義足でも車両改造せずに運転できる!初めての運転練習
右足を切断し、義足で生活している人たちがどのように車の運転をしているかを調べたところ・・・
- アクセルを左に付け替えて左足で運転
- 手動装置を付けて手で運転
- 右足の義足で運転
以上のような選択肢があることが分かり、自分の身体の状況や車の使用状態などから「右足の義足で運転する」という方法を選択しました。
お医者さんや義肢製作所のひと、陸運局のウェブサイトなどで確認する限りでは、「足切断後も車を運転できる能力がある」とお医者さんに診断してもらえれば、義足を使って運転できるとのこと。
日本の感覚で考えると、教習所のような練習場所があって、その敷地内でしか練習できないような感じかなと思ってたんですが、特に指定されていませんでした。
お医者さんなどから指示された場合のみ、教習所的なトレーニングセンターに行く必要があるとのことで、それ以外は特に決まりはないらしい。
そんな適当でいいんか?と思いましたが、ここはニュージーランド。
たぶん、警察に問い詰めても「そこらへんで練習してごらん」っていうと思う。
というわけで、足を切断してから約9か月後のある日、近所のオフィス街で運転の練習を開始しました。
平日は車がたくさんあるけど、土日はひとっこ一人通っていないようなちょうどいいオフィス街が家のすぐそばにあって、道幅もかなり広いし、運転の練習にはもってこいの場所。
いざ運転席に乗り込み、キーを回してエンジンをかけた時の高揚感がすごかった。
右足の義足でブレーキを踏んで、ギアをドライブに入れたら、いよいよ車を発進させます。
ブレーキに踏み込んだ足から徐々に力を抜くと、車が前に進むんですよね~、当たり前だけど。
助手席に座っている旦那に「わ~~きゃ~~わ~~」と言いながら、運転席からの眺めや、ハンドルを握る感触を楽しんだのです。
義足でアクセルやブレーキ操作の感覚は?安全に運転するテクニックとは
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ブレーキを踏み込んだ足の力を緩め、アクセルへと踏み変えようとしたとき、最初の違和感に気づきます。
普通なら、アクセルとブレーキを踏み変える時って、
- かかとを支点にしてつま先を左右に動かし
- 足首の力で足先を下げてペダルを踏み込む
とやっていたような気がするんですけど、義足ってそれができないんですよね。
なんせ、足首が動きませんから。
足首を動かしてペダルが踏めないということは、脚全体を上げ下げして、踏み込むということになります。
なるほどね〜、と思い、ブレーキからアクセルへと足を移動させるのですが、これまでは無意識で足首を動かしていたので、脚全体を動かすとなるとブレーキからアクセルまでの距離感が掴めない。
運転中って絶対に足元を見たりしないから、ペダルどうしがどのくらい離れているかなんて気にしたことない人がほとんどですよね?
さらに、車のアクセルとブレーキは平行に並んでいるイメージだけど、実は高低差があるということも意識してない人の方が多いんじゃないかな。
自分の足であれば、ペダルを踏み込んでいるかどうか、足の裏の感覚でわかりますが、義足だとそれも無い。
そんな感じで、最初の練習はペダルの位置を把握して体に覚えさせることに集中しました。
2回目は、これまで足首の力でコントロールしていた踏み込みを、脚全体で加減できるように練習。
脚全体を使うには、股関節を主に使い、膝関節を補助として、力を調節することになります。
いきなりグッと入れ込むと急発進しちゃうので、最初は弱〜く、徐々に脚を押し込むように。
一度停まって、ゆっくり発進し、20キロくらい出したらゆっくりブレーキを踏んで停車。
またゆっくり発進して、、、という感じで徐々に「安心して出せるスピード」を上げていきました。
脚全体の力加減でペダルを踏むのって案外簡単で、一度の練習でほぼ感覚を掴めました。
多分これまでの長年にわたる運転歴や経験があるので、簡単にできたのではないかなと。
これがもし生まれて初めての運転なら、もう少し難しく感じていたかもしれないですね。
それから一週間くらい練習して、いざオフィス街を抜け出すわけですが、交差点や対向車との行き違いでビビってしまうかも?という不安もありつつ…。
結果は、交通量のある公道でも、すんなりイケたんですよね〜!
恐怖どころか、自分で車をコントロールできるのが嬉しくって、窓から入る風は爽やかだし、サイコー!
もともと運転が大好きで、独身の頃は一人で長時間ドライブにしょっちゅう出かけていた私。
車を運転する私って、まさに水を得た魚ですよ。
運転できるのと同じくらい嬉しかったのは、右足を使えるから、改造なしで、どんな車にも乗れるということ。
義足で生活すると前よりも手間がかかることが増えますから、変えずに済むものはそのままであって欲しい。
右足で運転できたのは本当にありがたかったです。
安全に運転するテクニックとして、これから義足で運転できるようになりたいと思っている人に私からできるアドバイスとしては、
義足で安全運転するために
- 自分を信頼できるまで練習を重ねる
- ベストコンディションでいること
- 乗りなれた車にのること
義足で運転するということは、人間本来の足の動きや感覚などに頼ることができないので、やはり普通よりは難しいとは思います。
自信がつくまできちんと運転の練習をすることは必須ですし、不安なら他の運転方法を選ぶことも大切ではないかなと。
また、義足の調子が悪い時や、体調がすぐれないときは運転を控えるように。
義足であろうが何であろうが、体の調子がよくないときは誰だって運転しない方がいいです。
最後に、自家用車があるなら心配ないですが、そうでなければなるべく乗りなれた車種の車を運転すること。
アクセルとブレーキの位置は車種によって微妙に違うのですが、義足で運転すると、健足で運転していた時よりもその差が大きく感じられるようになります。
ブレーキペダルは大きいのであまり気になりませんが、アクセルは少し小さめで、真ん中を踏んだつもりでも端っこの方だった、という感覚のずれが生じることがあります。
とはいえ、3分も運転すればアクセルとブレーキの距離感にも慣れてくるので、めちゃくちゃ危険というわけでもないですが、できれば運転しなれた車種を選ぶのがいいですね。
後は交通ルールを守って、常識的な運転をすればオッケー!
結局のところ、安全運転で一番大切なのは義足か健足かではなく、運転者の適切な判断力や、常識的な精神だと思いますので。
義足で運転の練習と操作テクニックまとめ
義足を使うようになってから、日常生活で当たり前にしていたことが当たり前にできないという様々なショックに直面してきました。
そんな中でも車の運転を以前と同じようにできたというのは大きな安心でしたし、体は変わっても順応できる自分に自信がついた出来事でした。
この記事がこれから義足で運転しようと思っている方の役に立つことができたら嬉しいなぁと思っています。